#blog2navi() ハッカーの働きたい職場 *1 †LSE †もはや、2週間程前になるのだが、LSE(ソフトウェア技術者連盟)というのもの、設立総会に行ってきた。目玉はWinnyの作者、 山根さんらが来ていて、ハッカー臭のする集まりだった。この会は、「今まで情報処理学会などは、学術的な集まりだったが、LSEは技術者のProfessional Lifeをサポートすることが目的」というものらしい。 その中で大きな問題として取り上げられていたのは、「過重労働、不払い残業、偽装請負等の問題ある労働慣行」と言ったものだった。確かにそれらは大きな問題だが、それだったら、電算労とか、その下部団体のコンピュータユニオンとかが、団体交渉も得意そうだし、彼らに話した方がその手の問題は解決が早そうだと感じた。 しかし、LSEと電算労には、大きな違いがある。電算労のページを見てもらえばわかるが、あんまりコンピュータが得意だという匂いはしない。失礼だとは思うが、多分あたっている。彼らのやってるパソコン塾とか、初めてのパソコンとかですよ。最上級がAccess中級。間違っても、計算機プログラムの構造と解釈読書会(恥ずかしながら私も読んでないけど)とかはない気がする。 ユニオンとLSE(ハッカーと言い換えても良い)の大きな違いは、生活の手段なのか、或いはコンピュータが好きなのかという点にある。 そして、ハッカーをたくさん抱えているLSEとしては、単に賃金を上げろとか、福利厚生を厚くしろとか言うのではなくて、ハッカーが働きやすい職場って何かってのを、経営者に教えてあげるなり、その様な働きやすい会社を判断するための条件を提示した方が、良いような気がする。 と前置きが長くなったところで、じゃあ、ハッカーの働きやすい職場って何なのだろうってことをつらつらと考えてみた。 ハッカーの働きやすい職場の条件 †スカンクワークを推奨する †スカンクワークってのは、与えられた仕事以外の仕事(個人的な興味でも、会社の都合で終了させられたプロジェクトの残り)をこそっとやること。言葉の起こりは、ここによると
と言うことらしい。Googleでは、このような仕事を、週の勤務時間の内、20%程度取ることを奨励しているらしい。 多分、自分のやりたいことをやることが、創造性や生産性を高めることに効果があるんじゃないかと思う。 プログラマー募集の文面に、Ruby/Python/Lispなどの文言は含まれている。 †このアイディア自体は、Paul Grahamの受け売りだ。彼曰く、分かっている企業は、javaプログラマーが欲しいときでも、pythonプログラマー募集と求人を出すそうだ。pythonやruby,lispを使いこなせる人は、Javaをすぐにものに出来るが、その逆は、難しいという事なのだろう。 そして、その様な会社は、コンピュータについて分かっている公算が大きい。そして分かっている会社だけに、ハッカーを無下に扱うことは少ないと予想できる。Googleがそうだ。 だから、求人を検索する際は、Ruby,Python,Lispで検索して引っかかった会社に応募する方が、そうでない会社に応募するよりも、うまいやり方なのだ。 ちなみにfind jobで調べたところ、Rubyでは3件、Lispでは1件、Pythonでは0件見つかった。 言語選択の自由がある †言語やツールにある程度の選択権限があると楽だ。Cobolで14時間労働するんだったら、Pythonで14時間労働の方がましだ。何にせよ、開発ツール、特にプログラム言語は、思った以上に好き嫌いが激しい。出来るなら好きな言語で開発できた方がストレスはたまらない。 半ズボンをはいて会社に行っても怒らない。 †社会人は身だしなみは大事だと良く言われている。そしてハッカーにとって、服装に関する自由は同じくらい大事だ。何を着ていっても、寛容な精神で受け入れてくれるという態度は、他の物事に関しても、同じくらい寛容であるという良いバロメータになる。 ちなみに、橋本治が、革命的半ズボン主義宣言という本を出していたが、彼はスーツを着ることは、単にスーツを着るというだけではなく、自分は付和雷同的なノータリンな人間であると宣言しているようなもんだと手厳しい。 社長がGeek,或いはGeek的な素養を持っている。 †話が通じないより通じた方が楽しいでしょ。 社長或いは経営幹部が、Blogを書いており、書いていることに賛同できる。 †何考えているか分からないより分かった方が良いでしょ。たとえそれが、バカみたいな内容だっとしても。生の考えに触れるというのは、何にしても大事だ。 つまり †多分、ハッカーが働き易い職場の条件を挙げていけば、まだまだ見つかると思う。 大事なことは、それは今までの労働運動で行われてきた職場改善要求とは、微妙に異なるという点だ。仕事でプログラム書いて、休日家で個人用のプログラム書く人とか余りいないでしょ。働くのが嫌な訳ではない。プログラムを触ることが嫌な訳ではない。意に添わない形で、プログラムと向き合うのがいやなのだ。 より深く知りたい人には、以下の本がお勧め。優秀なオタク社員の上手な使い方―マネージング・アインシュタイン また、管理職のためのハッカー FAQは、期せずしてハッカーを束ねざるを得なくなった管理職の方が、どの様に彼らと向き合えば良いかについてうまくまとめてます。 何はともあれ、彼らは暴れ馬みたいなもので、うまく使いこなせば、普通の労働者の何倍もの生産性を上げることをお約束します(本当にうまく使いこなせればですけどね)。 &blog2trackback();
追記 (2005/11/01) †ZDNetの中でグーグル社員が、グーグル社の開発文化を以下の様に上げている。 †詳細はこのBlog 一緒に仕事をしやすい、頭の良い人間を雇う フラットなマネジメントの構造 サイロのない、オープンなコミュニケーション アイデアを分かち合うメーリングリスト 労働時間の20%を個人プロジェクトのために使う 小規模のプロジェクト 繰り返し利用できるデザイン、継続的な改善 サーバベースの展開(AJAX) 推測するのではなく、テストする やはり、本当に、労働時間に20%をさいているようだ。ついでに、世界経営者会議の中でシュミット会長自ら、「社員に20%の時間を個人プロジェクトに当てている。それが独創的な開発の要因だ。」と述べていて驚いた。 ハッカーが働いている会社であること †たとえば、Rubyの作者まつもとゆきひろさんが働いているネットワーク応用通信研究所とか。ハッカー界において実力を認められた人が働いている会社は、その会社が居心地が良いことを示している。(と思う)。
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